第17章 『再構築』 4
エドワードの質問に意図がわからないのか、スカーは黙る。
もう、膝を付く必要もなくなり、立ち上がり砂を払いながらエドの言葉に続いた。
「アメストリス人の、医者夫婦に覚えはないか?名前はロックベル。」
名前を呼ばれたのかのようにウィンリィさんの姿が見えた。
無反応を決めるスカーに一歩踏み出すエドワードは、ウィンリィさんに気が付いていない。
「待っ」
「内乱のイシュヴァールに赴いて、殲滅戦の命令が出た後もイシュヴァール人を助け続けた…」
「待って、兄さん!」
「スカー!てめぇを助けて、てめぇが殺した医者の夫婦に覚えは無いか!」
「兄さん!」
「エドワード!」
アルフォンスの制止虚しく、エドワードは吠えてしまった。
「何?何の話し?」
この場に似つかわしくない女の子の声。
我に返ったエドワードの視界にはばっちりウィンリィさんが捕えられているのだろう。
「ウィンリィ…」
「父さんと、母さんを…殺した?あなたが父さんと母さんを殺したの?」
ウィンリィさんの姿に誰も動く事が出来ないでいる。
「否定、しないの?」
何も言わないスカーに、ウィンリィさんは目を見開いたまま涙がこぼす。
「どうして、父さんと母さんが何をしたっていうのよ。殺されなきゃならないような事、してないでしょう?」
「ウィンリィ…。」
「…返してよッ!父さんと母さんを返してよ!」
頭を抱え視線を下げるウィンリィさん。
彼女の視線を追って、地面へ目を向けると一丁の拳銃。
体制を低くし始めるウィンリィさんに、僕もエドもアルも彼女の行動を読み取った。
「待て、ウィンリィ止めろ!それは駄目だ…!」
「そんなもの持っちゃダメだ!ウィンリィ!」