第17章 『再構築』 4
僕は、握っていた短剣を捨て、思い切り地面を蹴って、壁を蹴って飛び、エド達と合流する。
そして、その場に膝をつき両手をあげる。
「止まれスカー。武器も持ってない、殺してもいい。けど、最後に話がしたい。」
「……いいだろう。」
視線はスカーに向けたまま。
後ろにエドとアルが近づいてくる足音が聞こえる。
「エド、確かめたのか?」
歩くエドワードの足音が止まった。
「…スカー。聞きたい事は沢山ある。だが、一つだけ聞いてもいいですか?」
後ろで、二人が息を飲んだ気がした。
違うよ、僕が聞きたいのは君たちの確かめたいこととは違う。
「あなただって、錬金術師じゃないのか?」
「…作る者がいれば壊す者もいる。」
ぎりり。と鎧が拳を握る音がする。
「よせ、アルフォンス。」
「物わかりの悪い奴よ。」
またか。と言わんばかりのスカーの態度。
きっと僕が合流する前もこの話題をぶつけ合ったのだろう。
「諦めたのは、作る者か、壊す者か。スカー白状しよう。僕は錬金術師だ。」
「愚者か。」
「いいや。僕は借りる者だ。自然を借りるために錬金術を使う。」
「……分解して作り上げる事は変わらぬ。」
ちっ。
錬金術師は作りだす者それ以外はないってか。
バカの一つ覚えかもしれないが。
膝をついたままの僕の横に、エドワードが来た。
「…たしかに、俺達錬金術師は間違いを犯してきた。だからと言って、あんたのやってることを認める訳にはいかねぇ!」
スカーの論理に気押されていた僕ら。
しかし、エドワードの一言でさしに持って行く。
「スカー。一つ聞きたい事がある。神の代理人って奴は人のために尽くした医者の命も平気で奪うのか?」