第17章 『再構築』 4
「スカーが鋼の錬金術師と戦闘をしているらしい。だが、情報が錯綜していて、場所に見当がつかないんだ!」
「どうも。」
情報が錯綜?
どちらも一人ずつの、スカーと鋼。
けれども、場所に見当がつかない?
その時、上から小さな影が僕の前に出来始めた。
ザザッ。と僕の前に着地したのはフーバー。
「副司令!鋼が戦闘中です。応戦してください。」
「場所は?」
「ここから400m先です。移動しているので、圏内です。」
フーバーはテキパキと僕の短剣や銃を準備しながら、状況説明。
「ボクは状況把握に参ります。ご武運を。」
「フーバーも背に気をつけてください。」
敬礼を交わし、お互いの方向へと走り出す。
建造物の壁を蹴って屋根を伝って走る。
目の端には錬成痕。
エドワードとアルフォンスだろう。
「スカーか…。面倒だな。」
ひゅん。と風を切る音と共に、目の前にスカーの背が見えた。
目の前ではアルフォンスとエドワードの危機のようだ。
ガガッ。と一つの屋根の上で停止する。
「んー…。」
ぴゅ。と短剣を挨拶代りに投げる。
「何奴!」
「傷の男。僕のエドワードとアルフォンスにおいたはいけない。それに、国家錬金術師殺人の容疑も掛かってるから。」
「敵か。」
スカーは手を伸ばせば届く壁を、僕の立つ屋根まで破壊した。
降りざるを得なくなる僕は仕方なくスカーと対面する。
しかし、睨み合っている暇はなく、向かってくるスカーに応戦せざるを得なかった。
「ビーネ!腕に触れるなよ!」
「わかってる!」
飢えた獣のように迫ってくるスカー。
触れられるだけで終わり。
対人間用の構えを崩し、頭を対錬金術師へと切り替える。
スカーの拳を避け、横の位置を奪い、その脇腹めがけて突きを繰り出す。
避けられたり入ったりとまちまち。
「貴様、何者…!」
「話がしたいなら、止まれよ。僕は止まるぞ。」
そうは言うものの止まればやられる。
止まるきっかけを作ればいい。
……どうする?