第17章 『再構築』 4
数日、いつもの業務をみんなでこなし、息抜きに組手をする。
昼休みには後輩君がお昼を買って来てくれる。
懐かしんでいると目の前にあった紙たちが誰かの手によって持ち去られた。
「え?」
「副司令、俺、自分の分終わったんでこれやっときますわ。」
「いやいや、アレイ。休んでいいんですよ?」
「副司令には別件が。司令が呼んでます。」
「ヴィ、ヴィンズが…。」
部下に仕事を押し付けてしまう事よりも、ヴィンズに呼ばれる方が何十倍も恐怖だ…。
とにかく、隣の司令室へ足を踏み入れる。
思っていた通りに眉間にしわを寄せた仏頂面のヴィンズが待っていた。
「えっとー…ビーネ、参りました。」
「何だこれは。」
ビシッ!と目の前につきだされた紙を受け取り、内容に目を通す。
単なる町の動向ではあったが、『鋼の錬金術師』『無償』『修理』『感謝』の単語がざらざらっと目に入った。
「ヴィンズ……」
「鋼の頭が狂ったというわけじゃないことぐらい分かる。説明しろ。」
「本当の目的は人造人間をおびき出すことで、スカーに襲われる自分を餌にしようとしていて、今は自分を餌にスカーを釣っているところです、ね。」
「くだらん。」
…ヴィンズにとってはそれくらいの事だろう。
錬金術師相手でも余裕で勝利することができる化け物並みの実力者は、貫録が違う。
「止めろとは言わん。黙らせろ。」
一緒じゃ?
「わかったか。」
「は、はいー…。」
しっし。と部屋から追い出されてしまった。
詳細の資料を渡されたわけでもなく、場所を指定されたわけでもないので、とりあえず街へと向かって見ることにした。
「お前!こんなところで何している、早く位置に付け!」
「位置?」
何かの訓練だろうか?
そう言えば、街に向かって走る憲兵が多い気がする。
「いやー、僕別件なので。」
「そうか、しかし気は抜くなよ!」
「はい。」
はい?
彼らの行く方向を見れば、建材が壊れるような、少し埃っぽい空気が漂っている。
仕方なく、僕の横をすぎ去る憲兵を一人捕まえて事情を聞いた。