第17章 『再構築』 4
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ウィンリィの怒りのスパナがくだった兄さんを片付け…。
いや、ベッドに放り投げて、ビーネに、何があったか聞いた?と聞くと、既に知っていた。
さすがは副司令…。
「アル、あんまり無茶しなくていいんだからね。」
今日はここに泊まる。と服を緩めていたビーネが背中を向けたままボクにこう言った。
「ううん。兄さんがボクのために頑張ってるのを見てたら、じっとしていられないよ。ビーネこそ、何かあったの?兄さんと随分仲良くなったし、なんかすっきりしたように見えるよ。」
ビーネは、コートを着たままベッドでうなされている兄さんをイスに座るボクの横に立って見つめる。
その目は優しかった。
「エドワードねぇ……初めて他人を、何の礼も見返りでもなく、素直に守ってやりたいと思えたよ。」
「え?それって……まさか、スキって事?」
「んー、それに近いかな。エドワードの事知りたいと思うし、ずっと目で追っていたくなる。でも、エドワードのようになりたいと思う気持ちの方が強いよ。」
「兄さんのように、なりたい……。」
自分にない物に人は引かれる。
兄さんはビーネには無い何かを持っているのだろう。
ビーネはボクの側を離れて、執事みたく兄さんのコートを脱がせてあげている。
その様子は大切な人を気遣う様に優しく、出来上がった一つの絵のようだった。
「……強い憧れみたいな感じ。」
「あー、そうだね。憧れの存在が近くにあるから、愛でちゃうのかもしれないしねぇ。」