第17章 『再構築』 4
アルと一緒に覗きこめば、おどろくべき事実が書かれていた。
「これ…」
「あぁ、新しい情報だよ。額に大きな傷、加えて右腕全体に入れ墨のイシュヴァール人だ。」
「この情報、間違いないんだな。」
「はい。間違いありません。」
ビーネと目があった。
その事が、奴こそがウィンリィの両親の敵だという事を認めさせた。
「ブロッシュ軍曹。彼らの護衛は我々が請け負います。」
「え、あ、ですが。ヒューズ少佐も。」
「僕は平気です。アレイもいますから。軍曹は剛腕…いえ、アームストロング少佐の所に戻って下さい。軍の方がてんてこ舞いでしょうから。」
「はい!」
ブロッシュ軍曹は来た時と同じように走って路地に消えて行った。
俺達は車に乗るように急かされ、ホテルへと急いだ。
「エド。どうするんだ?」
車内の沈黙を破ったのは、助手席で私服に着替えているビーネだった。
「そうだな…アル。お前に話しておきたい事がある。」
話しは部屋に戻ってからとなった。
ホテルに着くとアレイさんは帰ってしまった。
「いいのか?護衛。」
「必要ないよ。戦闘員は一人で十分。エドみたいなちっちゃいのに二人も護衛がいる?」
「誰が豆粒かっ!」
「兄さん……。」
……おほん。
部屋に戻った俺達は、三人額を突き合わせる。
俺とビーネとで、クセルクセス遺跡で聞いた事をすべて話した。
「スカーがウィンリィの両親の仇…?!」
驚きながらも声を潜めるアル。
「まだ、確定したわけじゃないけどな。」
「そんな!…こんなの…ウィンリィに言っちゃだめだよ。」
「言えるかよ!……もう、あいつの泣きっ面なんざ見たくねェ。」
「僕もだよ……。」
沈黙が降りる。
何とも言えない虚無感に誰も口を開かない。