第17章 『再構築』 4
案内された先は地下。
廊下の先には軍服に淡い金色の長い髪の背中。
「ヒューズ少佐、部下の方がお見えになっています。」
「ん?」
驚いたように振り返った軍人はビーネだった。
奴は少し考えた後に、姿勢を正して案内してきた研究員を下げる。
「遅かったね。一体どこで道草を食って来たんだ?」
「うるせぇ。」
「口のきき方には気を付けたほうがいい。」
ばし。と肩を叩く様はまるで大佐のようだった。
人目を気にしているんだろう。
警備のために軍人がたくさんいる。
彼は地下全体をちらと目視しただけで、さっさと入口に戻ってしまった。
「ありがとう。」
「いえ、夜遅くまでお勤めご苦労様です。」
入口から出でもえらぶった様子で、車まで戻る。
「アレイ、鼠はいましたか?」
「いや、さっぱりですよ。」
鼠?
聞こうと思ったが、暗い路地の向こうから人が走ってくる音が聞こえた。
「副司令。お車へ。」
アレイさんが緊張する。
しかし、薄明かりの下に出てきたのは、見慣れた軍服だった。
「エドワード君!っとヒューズ少佐!?」
「ブロッシュ軍曹?」
息を切らして、まずは上官に敬礼を示す。
「よかった!ホテルに行ったらこっちに来てるって言うから…」
肩で息をして焦った様子の彼に、こちらも緊張する。
「どうしたんだよ。」
「今すぐホテルに戻った方がいい。希望とあらば、護衛も付ける。スカーが生きていた。」
「なんだってぇ?!」
内ポケットから書状を取り出す。
話は俺に向かってしていたけれど、その旨の書かれた紙はビーネの部下が受け取った。
紙は部下が目を通し、すぐにビーネに渡された。
「…エドワード。」
顔をしかめたビーネが俺にその紙を渡す。