第17章 『再構築』 4
アルや大佐たちが、俺達がリゼンブールに行っている間にホムンクルスと戦闘していたという。
アルの身体が大破していたし、大佐は入院していると聞いて驚いた。
ビーネが戻ってきて早々、アルフォンスの所でも家でもなく、大佐の所に行くと言ったのはこの事を知っていたからかもしれない。
「本当に入れるの?」
「まー、これでも一応国家錬金術師だからな!」
彼らがホムンクルスと交戦したという第三研究所を見に行く事から始めた。
アルの身体が元に戻ると希望が見つかれば、次に探すのは扉を開く通貨。
でも、その通貨に賢者の石を使うのは嫌だ。
ならば、何かヒントになることを聞きに、直接賢者の石で造られているというホムンクルスに訪ねに行こうという事だ。
「あれ?あれ、軍の車だよね。」
「ホントだ。誰だ?」
研究所の入り口には車が止まっており、中に人が乗っているようだった。
横目でチラチラと盗みしてみたが、ばっちり目があって声を掛けられてしまった。
「おぅい。ガキんちょ。夜中に何してやがる。」
「いっ、いえ!ボクらは別に!」
「何もしてないぜ!な、アル!」
「うんうん!」
じとー。と品定めするようにこちらを見てくる軍人。
その胸には小さな物ではあったが、ビーネの所属している監査の胸章が付けられていた。
「ビーネ、ここに来てるんですか?」
「あ?副司令の知り合いか?」
はい。と答える前に「鋼か」と言い当てられてしまった。
「中に入れるのは鋼だけだ。鎧君…アルフォンスだったか、はここで待機な。」
アルはビーネの部下につかまり、俺はしっしと研究所の中へと追い立てられた。
なんとも妙な感じだったが、銀時計も見せていないのに鋼の錬金術師だとばれて、弟の名前も知っていたんだから、ちょっと驚いた。
「すんません、中、見せてもらえますか?」
「あ、今。ヒューズ少佐が…」
「えっとー、少佐の部下です。呼ばれてきました。」
「そうでしたか、こちらです。」