第16章 『再構築』 3
「え、エドワード・エルリックだけど。」
「それは知っている。いつの間にそんなに仲良くなった?私が見た時はほとんど他人だった。」
「同じもの追い掛けていれば、必然的に……ね。」
含みを持たせた言葉に、そういうことに勘が働くロイは、がし。と隣に座る僕に肩を組んで来た。
「私はハニーに重要な教育をする事を忘れていたようだ。」
「教育?」
「恋愛とは、男女が互いに相手を想い慕う事だ。いいか、ここで重要なのは男女という定義だ。」
「あぁ。うん。それはエドにも言われたよ。」
平然と言ってのければ、ロイの盛大なため息が聞こえた。
「でも、僕がロイにどうしてたくさんの女の人と付き合うの?って聞いた時には、愛は平等で分け隔てなく誰にでも注ぐもので、好きになるのに理由なんかいらないって言ってただろ。」
「…ハニー。」
「間違った教育をしてしまったのはロイであって、僕の責任じゃないし。それに、エドだって満更でもないみたいだぜ?」
満更でもない。は言い過ぎだが、ロイをからかうのならこれぐらいしても許されるだろ。
「ハニー。実は女だ、とか嘘をついているわけでは?」
「無いよ。」
「では、誘惑したとか。」
「しないよ。」
はたから見れば何やらたくらみ事を話しているようにしか見えない僕ら。
ここを通り過ぎて行く人たちは不審な目を向けて来る。
しかし、中にはこちらを見ながら耳打ち会う女性も多々いる。
「……ジプシーの血は恐ろしいな。自然に愛され、水のように清らかな容姿は妖精と間違えられるほどだからな。」
「まぁ、僕濃いからね。血。」
って。違うだろ。そんな話をしに来たわけじゃないんだ。