第16章 『再構築』 3
ホッといつの間にか緊張していた体の力を抜くといきなり、ビーネの方へ引っ張られた。
「うわ!」
「エドワード。」
耳元で聞こえるいつものビーネの声より、少し低い声に心臓が高鳴った。
力を抜けばこのまま奴を押し倒してしまいそうな体制にどぎまぎする。
「ありがとう。こんなに救われた気持ちになったのは初めてだ。」
俺の背中にまわされた腕は震えていた。
おそるおそる俺もビーネの背中に腕を回し、慰めるように背中を叩いてやった。
「そっ、そうと決まれば、早くアルに伝えなきゃ!な!」
「そうだね。安心させてあげようか。」
ゆっくりとビーネの腕から抜け出すと、少しビーネの匂いが服に残った気がした。
夕方の列車に間に合う様にいそいそと準備を始める。
階段を下りてばっちゃんに、出立することを伝える。
「中央に戻るのかい?」
「あぁ。アルに怒られに戻る。ひょっとしたら兄弟の縁、きられるかもな。」
「その時は僕がエドワードの事をもらってやるよ。」
あまりにも嬉しそうにそう言ったビーネ。
ばっちゃんは単なる冗談として受け取ったようだったが、俺には本気で言っているようにしか聞こえなかった。
…だって、目が笑ってなかった。