第2章 『出会い』 2
「どんな奴なんだ?」
「ティム・マルコー。中央の錬金術研究機関にいたかなりやり手の錬金術師。錬金術を医療に応用する研究に携わっていたが、内乱の後行方不明になっていたんだ。」
「降りよう!」
俺は急いで全員分の荷物を手に取り、ヒューズとアルを急かし、がやがやと列車を降りた。
「エドワード君?」
「兄さん、一体どうしたのさ。」
ホームをきょろきょろしながら、自分の荷物をひったくったヒューズと目立つまいとしているアルに早口でまくし立てる。
「医療の研究をしていたのなら、生体錬成について何か知ってるかもしれないだろ!」
アルはピンと来たようで、さっきの人物を探しているがヒューズはのんきに欠伸をして、改札の方に一人で向かって歩き始めてしまった。
「ヒューズ!」
「ホームに用事があるのなら、改札に向かって歩く人はいないだろ?探すなら外だ。」
自然と早足になる俺とアルをそっちのけで、マイペースで歩いてくるヒューズ。
……。
「エドワード君!マルコーさんの居場所がわかったよ。」
後ろの方でそう叫ぶヒューズ。
彼の落ち着いた表情に俺たちがどれだけ焦っていたかを思い知らされた。
「どこに?」
「少し外れたところで、マウロと言う名で医者をやっているそうだよ。」
彼の落ち着いた足取りに合わせて、急く心を落ち着けながらマルコーさんの話題を彼にふった。
「マルコーさんは、どうして行方不明に?」
「さぁ。彼の事を直接見たわけじゃないから明言はできないけど。研究に嫌気がさしたんじゃないかな?彼が居なくなった時に研究所の極秘資料も一緒になくなったそうだし。」
「…そうなのか。」