第16章 『再構築』 3
「…は、はは…はは……」
エドワードの笑い声など耳に入ってこなかった。
目の前にあるのは、彼らの錬成した自分達の母親じゃないのか?
だとしたら、僕が錬成したあの半端な生物はなんだ?
父親じゃないのか?
「そうだ。死んだ人間はどんなことをしても、元に戻らない、これは真理だ。」
どんなことをしても……。
「人体錬成の完璧な理論だの禁忌だのと…何をやってるんだ、俺は。」
「エド、しっかりおし、気を確かに持つんだ!」
「大丈夫だよ。気を確かに……か。」
じゃぁ、僕の仲間は、家族は。
僕の身体は。
「エドワードッ!!」
エドワードが、事実を耳にして心臓が狂わんばかりに鼓動を打っている僕を振り返る。
「一体どういう事だっ!僕は、僕は自分の父親なんか錬成出来ていなかったっていうのか?!」
「あぁ。そういうことだ。」
「じゃぁ僕は、何のために体を失った!何のために仲間をっ!仲間をっ…!」
「お前は仲間を殺してなんかいないよ。」
「なぜそんなことが言える!僕に罪は無いとでも言いたいのか?!」
もう、止められない。
父親でも何でもないものを作るために、僕は体を失い、助かりたい痛みから逃れたい、と願った。
その衝動で、僕は仲間の身体と命を使い、胸から下の身体を錬成し直した。
仲間は僕の身体になるために死んだ。
「違う!」
「お前に何がわかるエドワード!ジプシーは死んだんだよ、僕の所為で!全員だ!胸から下は仲間の血と肉で出来てんだぞ!みんな、僕の身体になるために生きてきたわけじゃない……なのに!どうして僕だけ生きてる!おかしいだろっ!」
気がつけば、僕の手には父さんから貰った短剣。
これで、心臓を一突きすればみんなの元へ行ける。
「最初からこうすればよかっ」
腕を振り降ろす前に意識が途絶えた。