第15章 『再構築』 2
「おや、エド。それとビーネさん。」
「……ただいま。」
「おじゃまします。」
ずかずか。とピナコさんの家に上がり込むと、僕だけを置いてエドは二階へと引っ込んでしまった。
エドワードの態度に、ここに来るまでに何があったかを察したピナコさんは、後から戻ってきたホーエンハイムさんと僕にお茶を出してくれた。
「驚かせて悪かったね、ビーネさん。」
「あ、いえ。えっと。ビーネでいいです。」
そうかい。と少し気だるげな返事。
同じテーブルについているホーエンハイムさんが、興味深そうに僕を見てくる。
「君、男の子だったんだね。さっきは悪かった。」
「いえ。よく間違えられますから。」
……間違えて欲しくないけどね!
「……。」
誰も、一言も話そうとしない。
何を話していいのか分からない。
これはきっと、エドとお父さんの問題だから。
出された紅茶を飲み干し、ピナコさんにお礼を言って、彼の後を追った。
「エド。入るぞ。」
「…おう。」
落胆している。と言うわけではないか。
部屋に入ると、コートも靴も脱いでリラックスしているエドワード。
ベッドに身を投げこちらを見ていた。
「今日は、泊まって帰るのか?」
「あー。そうする。疲れた。」
「そ。」
何を話すわけでもなく。
僕もコートを脱いで、靴を脱ぎ捨てる。
もう一つのベッドに腰をかけ、ぼぅっと天井を見つめているエドワードに視線を向ける。
「なぁ、エド。」
「あいつの話しならしねぇぞ。」
「あーうん。…いや。」
「んだよ。」
言い淀む僕にイラついた視線を向けて来る。
「ただ、羨ましいなって。」
「は?」
僕の言葉に身体を起こした。
それから特に動くこともなかったので、僕は言葉を続ける。