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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第15章 『再構築』   2



「――…ってめぇ今頃、どの面下げて戻ってきた!!」
「親に向かっててめぇとはなんだよ。」
「てめえなんざてめぇで十分だ!母さんの墓の前じゃなかったら、殴ってるところだ。」

エドワードの怒りをものともせず、いや、しているのかもしれないがなにぶん表情が読めない。
ホーエンハイムさんはエドのお母さんのお墓に視線を戻す。

「トリシャ…何で死んだ…」
「なんでもクソもあるか!てめぇが苦労させた所為だ!」
「もう少しなんだ…もう少し…」

読めない人だな。この人。

「あぁ!?もう少しって、まだ苦労かけるつもりだったのかよ!」
「約束したのに…」
「女手ひとつで俺達を育てて、どれだけ頑張ったか分かってんのか!」
「トリシャ…俺を置いて行くなよ。」
「置いてったのはてめぇだ!……って、会話がかみ合ってない!宇宙人か!!」

エドワードのノリつっこみ。
しかし、笑える雰囲気でもなく我慢した。
エドも、冗談でも言っていないと、母の前で父をぶん殴ってしまいそうなんだと思う。

「今更帰ってきたところで、てめぇの居場所は無いんだよ!なにしに帰って来た!」
「そうだ…俺の家。なんで焼いてしまったんだ。何も…何一つ残ってないじゃないか。」
「もう、後戻りしないと決めた。帰る家は無くていい。あれが俺達の覚悟だ。」
「ちがうな。」

諭すような声。
ようやくこの場にエドワードと言う人物がいることを認めたようだった。
親子。
特に父親と息子。
母親との関係よりも複雑。

「自分の過ちを、その後を見たくないからじゃないか?」



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