第15章 『再構築』 2
~~~~~~
エドに出会ってから情緒不安定だな。
似たような境遇だからだろうか。
けれど、落ち着かなきゃ。と焦る気持ちは無い。
牧歌的な雰囲気のリゼンブールは、中央でいそいそと暮らしている僕らに一息つかせてくれる。
いくらこの先やることが沢山あったとしても、だ。
エドワードの背を追いかけながら、ゆっくり歩いて行くと、羊の群れの向こうに人影が見えた。
あの場所は。
「あれ?エドのお母さんのお墓だよね?」
「あ、あぁ…」
緊張した。というか動揺しているというか。
驚きすぎて息ができないでいるエドワード。
エドのお母さんのお墓の前に立つ人物は、大きな背中は明らかに男性。
一つにまとめられた白髪交じりの長髪は、淡い金髪なのだろう。
突然、エドワードが走り出した。
「ホーエンハイム……ヴァン・ホーエンハイムか!」
怒りをそのまま声にしたような唸り声。
それほどまでの怒りを持ってエドは男に声をかけていた。
「エド…ワードか?」
振り返った男の顔は何処か彼に似ていた。
父親、か?
「大きく…なったな?」
「何で疑問形なんだよ。」
「中央あたりで有名だぞ、おまえ。史上最少国家錬金術師だって?」
「最年少だっ!」
軽く冗談を飛ばしてエドワードをからかう様子は、少し手慣れているように感じた。
そう言えば、彼の口から父親の話を聞いたことはなかったな。
母親を病気で幼いころに亡くした事は聞いていたが。
「ピナコに聞いたぞ。人体錬成したんだって?」
まるで世間話でもするかのような口ぶり。
エドワードはぐっと息を詰まらせ、ようやくのことで言葉を捻りだす。