第15章 『再構築』 2
父親との確執、仲間内での結婚式、戦い、仲間の出産、自然の猛威、仲間の死。
それから、さまざまな国の様子。
そこでの小さな出会い、恋。
とにかくビーネの色んな事すべてを聴いた。
「てか、僕の話なんて聞いて楽しかった?」
「あぁ!楽しかったよ。俺の知らない話も聞けたし、何より、お前もちゃんと人間だったんだな!」
「……酷いな。僕はちゃんとした人間だよ。」
リゼンブールに着く頃には、ビーネの不安定さは無くなっていた。
もしかしたら、押し隠しているだけかもしれなかったけど。
「我々はこのまま中央に戻る。」
「俺達ばっちゃんの所に顔出して、ウィンリィたちが元気でやってる事伝えてくる。」
「うむ。」
リゼンブールの駅前で、少佐とブレダ少尉、ハンさんと別れる。
なにそれ、僕も数に入ってんの?と不機嫌な声が横から飛んできたが、無視。
「じゃ。」
と駅前で彼らと別れ、ばっちゃんの家の方角へと歩きだす。
「おい、エド。どうして僕まで。」
「お前だって、たまには休日欲しいだろ。」
「いらねぇよ。」
そうは言いながらも少しホッとした顔をしているのは、言わないでおこう。
「そうだ。途中ウィンリィの両親のお墓、寄ってもいいか?」
「あ?あぁ、そうだね。頼まれちゃったしね。」
芋づる式にあの時の事を思い出してしまうかと思ったが、案外平気そうな顔をしてる。
「ははぁん。僕がまた惨めに泣かないか待ってる。」
「はぁ?待ってねェよ。」
「もう泣きませんよ。決めたからね。」
にっこりと笑顔だった。
「決めた?」
「そ。次は大切な仲間を守って行こうってね。」
優しく微笑んだ顔に、胸が高まった。
ばっか!こいつは男だぞ!なんだ、キュンってキュンって!
「そうかよ!」
ずんずん。と奴を置いて先に進む。
のどかな雰囲気に羊の群れ。周りを走る牧羊犬。
そんな景色の中、母の墓の前にたたずむ人影が見えた。
「あれ?エドのお母さんのお墓だよね?」
「あ、あぁ…。」
思わぬ背中に、息が詰まった。