第15章 『再構築』 2
「どうしたらいい?父さんを治す前に、みんなを取り戻した方がいい?!あんな、あんな顔されちゃ…生きてるの辛いよ…」
嗚咽を漏らしながら、鞍の上でうずくまる。
俺は隣に居ながら、そんなビーネに何も声をかけてやれなかった。
「おーい。大将!ビーネ!先行くぞ!」
「あー、今行く!」
仕方なく、ビーネの馬の手綱を奪って、ブレダ少尉たちの後を追う。
仲間を失うのは、俺が、アルやウィンリィを失うような気持ちなんだろう。
「落ちるなよ。」
「…うん。」
急にガキに戻ったようなビーネ。
子供の頃、こうやって旅に暮らしていたから、今の行軍が余計に感傷に浸らせるのかもしれない。
「なぁ。話したらすっきりするかもしれないだろ。」
いつもビーネの事を知るのは、俺達の話しをしてからだ。
たまにはあいつの話しを先に聞いてもいいだろう。
「ビーネの家で聞いた頃より、前の話し。旅の話とか、イシュヴァールの人たちと何があったのかとか。」
「……いいよ。」
覇気のない奴の口から、ぽつりぽつりと旅の情景が語られる。
想像もできないような自然に溢れた山々。深い谷底。
その中で生きるために使う錬金術のあり方。
「綺麗なだけじゃ、無かったけどね。」
「へぇ。」
リゼンブールまでの道のりはまだある。
夜、岩陰に座りこんで、話しにふける。