第15章 『再構築』 2
「そっか。ロックベルのおじさんとおばさんが…」
「内乱が悪化してイシュヴァール人殲滅の命が国から出た後も、現場に踏み止まって最後まで人々を助けておったよ。」
「どんな、最期だった?」
途端に顔を強張らせるイシュヴァール人達。
…やはり、まともな最後ではなかったのだろうか。
「ロックベル夫婦は、助けた患者に…イシュヴァール人に殺された」
「そ、んな、理不尽な事があるかよ!」
「すまない。我々は『あれ』を止められなかった」
「どこの、どいつだ!」
「顔は包帯だらけで分からなかった。右腕に入れ墨のあるイシュヴァールの武僧だ」
そっか…。としか言葉が出てこなかった。
アメストリス人に怪我を負わされ、目を覚ましたら目の前にアメストリス人。
とっさにそういうことになってしまったというのなら、少しばかり気持ちがわからなくも……。
わかるかッ!
少しは冷静になって話しぐらい聞くだろうがっ!
「もし機会があったら、ロックベル夫妻の墓前に報告をしておいてくれるか。感謝と、謝罪とを…。」
「分かった。必ずするよ。」
問いただしたことは山ほどあったが、そんな雰囲気じゃないことぐらい俺にだって分かる。
そして、何より一番気がかりなのは、アメストリス軍の一員として戦争の事も聞いているだろうビーネ。
彼が黙っているのが怖い。
「シャン、様。でしたか?」
「そうじゃ。」
話しも終わり、みんなの所へ戻ろうとした矢先、ようやく奴が口を開いた。
「シュピネ・ジプシーをご存知でしょうか?」
「おぉ、蜘蛛か。知っておる。……まさか、まさかっ!」
急にビーネの顔を見て驚いていた。
「お前!蜘蛛の息子か!あの時は世話になった…なぜここにいる?蜘蛛らはどこじゃ?若頭!」