第14章 『再構築』
「どうした?」
「いやー。中将がさ、義を貫ける人だ。って僕に言ったんだ。」
「義?」
「そう。でも、未だに義ってのがどういうものなのか分からないし、貫いているのかもわからない。」
内ポケットに押し込まれている銀時計を服の上から押さえつける。
これは一人立ちの証。
鎖の音が聞こえる度に、しっかりしろ。と中将に言われている気になる。
「貫いてるんじゃねぇの?だって、お前は監査だろ?大佐だって少尉だって、軍から見りゃ十分邪魔者なのに、お前の良心に従って見逃してる。」
「…そう?僕は結構軍のためー、とか思いながらやってるけど。」
「それでもだよ。仲間を守るってのが間違った方向へ向いてないのがお前のやり方だろ。お、俺も一応は軍人だからさ!お前の采配に助かってるって言うか…そのー…」
ぽりぽり、と明らかなてれ隠しで頬をかくエドワード。
アルフォンスみたいにもう少し素直になってもいいと思うけどなぁ。
「ほら!お前は自分の大切なものだけじゃなくて、人の大切なものまで守ろうとしてくれるところとかが、義っていうんじゃねぇーの?」
「はぁー……」
感激。
あんなに疑問だったことが一気に解決された気がする。
自分だけじゃなく、他人も。
確かにそうだ。
自分の幸せを願うのなら、きっと軍人になんてなっていなかった。
父さんのためにここまで真剣に賢者の石を追う事もなかった。
仲間のために副司令になんてならなかった。
見ず知らずのマリア・ロスのためにここまで来ることはなかったかもしれない。
「なんだよ。」
エドの声に我に返った。
ぽかん。と彼の事を見つめていたのだろう。
「ありがとう。エド。すっきりしたよ。」
「は?ま、まぁ、いいけど!」
ぷい!と逸らされた彼の顔。
僕と同じ金髪。でも瞳の色は違う。
肌の色も少し違うし、身長も違う。
でも、なんだか親近感が湧くのは、同じ髪色と似たような長さだからだろうか。
「さ。少佐たちの所へ戻ろう。」
「おう。」
・・・