第14章 『再構築』
「まったく、バカで傲慢なガキだ。」
「やっぱ俺…バカか?」
「いや、そういう真っ直ぐなバカは嫌いじゃない。せいぜい気張れや。」
へへ。と少し照れるエドワード。
話しも決意もまとまった。
情報だけが未だに収集しきれていないが、集められるだけは集まった。
「ロスさんは、これから?」
「我が国に来てもらうことになっていル。」
「シンですね。ではマリア・ロスを頼みます。」
「うむ。この者の衣食住すべて、我ら一族に任せロ。」
ぐずぐずはしていられない。
フーさんとロスさんに準備を促し、僕らは見送りに出る。
「あの…マスタング大佐に伝えていただけますか?」
「なんだ?」
ロスさんが、荷物と鞍を積んだ馬の背に手を掛けながら、声色固く口を開いた。
「あのままだったら、策にはまって殺されていた私を、生かして逃がしてくださったことに感謝します。もし、有事の際は遠慮なく呼び戻してください。」
そして、意志のこもった顔でこちらを振り返り、軍人よりも軍人らしく敬礼をする。
「恩に報いるため、その時が来たら、命を掛けて働かせていただきます!」
「うむ!我々もおぬしが大手を振って帰って来られる国になるよう努めよう!」
少佐とブレダさんはピッ!と敬礼を返し、僕はただ彼女に笑顔で返した。
エドワードは照れ臭そうに敬礼ともつかないように手をあげていた。
ロスさんはそんなエドに握手を求めた。
「エドワード君、元気でね。」
「…ビンタの借り、返せなかった。」
「ふふっ、また今度。」
ぐっ。と握手を交わしロスさんとフーさんは馬上の人となった。
外套を巻き砂漠へと消えてゆく。
僕はその背が小さくなるまで、ぼぅっと見つめた。
「ビーネ。戻るぞ。」
「あー…うん。」
歯切れの悪かった僕の返事にエドが眉をひそめる。