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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第14章 『再構築』



「大体怪しまない方がおかしいっての。大勢の目の前でこれ見よがしに連行するわ、軍にとって不名誉である同僚殺しをでかでかと新聞に出すわ、パフォーマンスが過ぎたってこった。」
「加えて、中将を殺すなんて僕でも全力投球しないと無理だしねぇ。ロスさんには荷が重いよ。」
「……自慢か?」
「そうだと受け取るなら、ご自由に。」

急に剣呑な雰囲気になった僕らに、ブレダさんが驚いた。

「何だお前ら、意外と仲良しか。」
「「別に仲良くありませんー。」」

見事に被った言葉にまたも睨み合う。
自分でも驚いた。
ロスさんが本当に無事だったことにかなりホッとしているのは事実。
それはエドも同じなんだろう。

「アームストロング少佐。ロス少尉。感動の再会の所悪いのですが。ロス少尉、ここに来るまでの経緯を説明していただけますか?」
「はい。」

少し、形式ばった口上で説明を求めた。
説明は彼女の主観で主になされた、そりゃそうだろう。ロスさんから見ればそうなる。
しかし、鋭いエドワードはすべての情報が集まる僕の所へ視線を向けて来た。

「僕はもとより、ロスさんが犯人だとは思ってないよ。一人でどうにかなるもんじゃないから。ロイの計画に一枚噛ませてもらった。ロスさんの手引きはロイ達に任せていたけど、その場の処理は僕が担当したよ。」

確かにロスさんの偽焼死体の場にはロイと僕。
憲兵がやってきたのは彼らが到着してから。
真実はロイと僕しか知らないのだから、今ここでエドが僕を問い詰めるのも理解できる。

「ざっと状況がつかめたところで…とにかく情報が欲しい。お互い隠し事なしで情報交換と行こうや。」

この為に、ホムンクルスと実際に接触したエドと僕がこの隊に選ばれたと言っても過言じゃない。
絵のうまい少佐がエドやロスさんの証言をもとに、似顔絵を作り上げていく。

「このエンヴィーってのが、エドワード君を運んで来た人ね?」
「この、ボンキュってのが、ラスト?」
「ホムンクルスなど本当に存在するのカ?」
「その、ダブリスのグリード一見皆殺しってのも気になるな。ドクター・マルコーにも一度会ってみる価値がありそうだ。」

惜しみなく出された情報は、手に入れた時間や日にちが正確でない分少々混乱する。
この場にいる全員が頭を捻る。



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