第14章 『再構築』
~~~~~~~
目的地はクセルクセス遺跡。
遺跡の石畳に蹄が当たり、音が響く。
「フーさん。」
小さな声だったのに、すごく響いたように感じた。
物影に動く気配を感じ、もう一度呼びかける。
「…ハニーとやらかナ?」
「はい。」
お互いに自己紹介をし、ここが安全かどうかを確認する。
そして、ここへ来た目的にお目通りさせてもらった。
「マリア・ロス。」
少し厳しい口調になってしまったのは、彼女との関係が軍だからかもしれない。
僕の言葉にビクリと肩を震わせて振り返った彼女の顔は、思っていたより元気そうだった。
「ヒュ、ヒューズ少佐!?」
「お久しぶりです。お元気そうでなによりです。」
「か、か、監査の副司令さんがど、ど、ど、どうされたんですかっ!?」
「物凄く驚いてるところ悪いんですが。ただの旅の心得人としてです。砂漠越えはそれなりに大変ですから。」
よっこいしょ。と彼女にほど近いところに腰を掛ける。
フーさんは、後に来るエドワードたちを迎えに先ほどの場所へと移動している。
「お一人で、ですか?」
「いいえ。今に騒がしくなりますよ。」
え?と首をかしげるロスさん。
僕はきつく縛りつけていた外套をほどき、中に入った砂を払う。
しばらくすると、ぼそぼそと人の声が聞こえてきた。
「―――奥まで行くんだな。」
「女一人で目立つ所にいては危険だからナ。」
「女?」
「ここダ。」
とフーさんの声が聞こえたと思ったら、すぐにエドと少佐が顔を出した。
「エドワード君!?」
「ンの、クソ大佐っ!」
ぎこちないが嬉しさを隠せないエドワード。
そして、彼を押しのけるように少佐が突っ込んで来た。
「心配したぞロス少尉ィィ!!」
しかし、ロスさんくらいになると突っ込んでくるのは想定済みなのか。
サッ。と避けていた。
肩の荷が一旦下りたという風に安堵しているブレダさんの所へ近づく。
「死んだはずの人間が国内にいちゃ、どこでバレるか分かんねぇからよ。国外に出しちまうのが一番安全だわな。」
「ヒューズ中佐とこいつの上司をあんな目にあわせたのは、ロス少尉じゃないよな?」
「本人に聞いてみな。」
エドワードはブレダさんに半ば噛みつくように質問をぶつける。
ブレダさんの少し乾いた反応に、エドはホッと息をつく。