第14章 『再構築』
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望遠鏡で目的地を確認すると、ビーネは先に行くと言って馬具を締め始めた。
「じゃぁ、ブレダさん、少佐。気をつけて。」
「あぁ、悪いな。」
「ヒューズ少佐もお気をつけて。」
暑くて火照る顔で、まだまだ平気そうな顔をしているビーネを見る。
「エド。水分補給はしっかりしろよ。干からびるぞ。」
ははは。と笑う奴はやっぱりムカつく。
じたばたと地団太を踏む奴の馬は、見るからに扱いにくそうだ。
「お前もな。」
回らない頭、ようやく出てきた言葉はこれだけ。
もっと皮肉ってやろうとも思ったがなにぶん体力がなかった。
颯爽と馬に跨ったビーネは、力強く駆けだす。
なびく金髪と栗毛の馬が、砂を盛大に巻き上げ遠ざかる。
「やっぱイケメンは何しても様になるな。」
「羨ましい限りですな。」
「見目麗しいとは、ああいう事をいうのだろうナ。」
大人達が口々にビーネの事を褒める。
少し誇らしい気持ちになったのは俺だけの秘密だ。
砂丘に差し掛かれば、はるか遠くを走るビーネの姿があった。
白い外套をなびかせているあいつは、砂漠に落とされた金粒のように光っている気がした。
「ばーか。」