• テキストサイズ

七色の雫 ~生きる道の再構築~

第14章 『再構築』


~~~~~~



望遠鏡で目的地を確認すると、ビーネは先に行くと言って馬具を締め始めた。

「じゃぁ、ブレダさん、少佐。気をつけて。」
「あぁ、悪いな。」
「ヒューズ少佐もお気をつけて。」

暑くて火照る顔で、まだまだ平気そうな顔をしているビーネを見る。

「エド。水分補給はしっかりしろよ。干からびるぞ。」

ははは。と笑う奴はやっぱりムカつく。
じたばたと地団太を踏む奴の馬は、見るからに扱いにくそうだ。

「お前もな。」

回らない頭、ようやく出てきた言葉はこれだけ。
もっと皮肉ってやろうとも思ったがなにぶん体力がなかった。
颯爽と馬に跨ったビーネは、力強く駆けだす。
なびく金髪と栗毛の馬が、砂を盛大に巻き上げ遠ざかる。

「やっぱイケメンは何しても様になるな。」
「羨ましい限りですな。」
「見目麗しいとは、ああいう事をいうのだろうナ。」

大人達が口々にビーネの事を褒める。
少し誇らしい気持ちになったのは俺だけの秘密だ。
砂丘に差し掛かれば、はるか遠くを走るビーネの姿があった。
白い外套をなびかせているあいつは、砂漠に落とされた金粒のように光っている気がした。

「ばーか。」

/ 306ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp