第14章 『再構築』
砂から身を守るための外套を羽織り、もくもくと馬を進める。
それを丸一日。
「あぢー。あぢー…。あーぢー!」
「若者がなんとだらしない!」
いくら日が照りつけていようと、馬の背でぴんしゃんしている少佐。
反してエドワードは背の上で力を抜き、だらしない。
「あのな、こちとら鋼の手足ぶら下げてんだ。熱がこもって火傷しそうなんだよ。」
「おぉそうか。それは失礼した。」
そんな様子を、馬をギャロップさせながら笑えば、物凄い顔で睨まれた。
「てめー、水煙の錬金術師だろー。水でなんとかしろよー。」
「焼け石に水だよ。」
水分を集めるにしても、馬達の分くらいしか集まらない。
昼間の砂漠はカラッと乾いていて、水分が少ない。
「日が沈んだら、氷を用意してやるよ。」
そういってまた、腹を蹴って先頭へ躍り出る。
二日目、歩き始めてしばらくしてから目的地が見えた。
「ハンさん!僕は先に行って偵察してきます。」
「ウン。よろしく。」
数日、もたもたと歩いていた僕の乗っている馬は、走りたくてうずうずしていた。
足場は珍しいさらさらの砂地。
僕が昨夜準備した氷のおかげか、馬の周りはそれほど暑くない。
後ろを歩く仲間達は誘っても走る様子はない。
足をふみならし、早くと急かす。
「はいはい。じゃぁ、行こうか。」
僕らは駆けだした。