第14章 『再構築』
「なぁ、ビーネ。」
「…なに?話しかけないでくれる。」
「……。」
今にも咬みついてきそうだが、無視無視。
随分長い事列車に揺られていた気がする。
「リゼンブールー、リゼンブールだよっと!」
「駅長さん、こんちは。」
「よう、エド。……アルフォンスは?」
「あー、今日は俺だけ。」
少しばかり顔見知りと声を交わしたエドワード。
先を行く少佐の背を、二人で追いかける。
「いいところだよ。リゼンブールは。」
「…てめー本当にそう思ってんのか?」
「あぁ。もちろん。」
一触即発の雰囲気に少佐が割って入る。
駅から出るとすぐに目的の人物を見つける。
「どうもアームストロング少佐、ビーネ君。…と、よう大将。」
「えっ?何でブレダ少尉?」
私服姿のまま敬礼をしている彼は、少し一般人とは浮いている。
「もしかして少尉も観光?」
「そんなことする気も、している暇もない。」
「へ?」
ブレダさんに案内されるまま入ったのは、カフェ。
似合わないな。と思いつつも話しに聞いていた人物を見つけ、少しばかり緊張する。
「や。どーもー。」
「出入国コーディネーターのミスター・ハンだ。」
「よろしくネ。フーさんから話しは訊いている。」
黒い丸眼鏡。あやしさマックスだが、めっちゃチャラくても信用に足りない。
「さっそく出国のルートについてだが…」
「出国?俺、パスポート持ってないよ?」
「バカヤロ。パスポートがあったら足がついちまうだろ。」
「それって、密…もがっ!」
少佐がエドの口を押さえ、開始早々チャラになる事だけは防がれた。
ブレダさんと少佐の無言の圧力にさすがのエドワードも大人しく従うことにしたようだった。
「…のヤローども。何をたくらんでるのか知らねぇけど、つまんねぇ事だったら承知しねーぞ。」
こうなれば行動は早い方がいい。