第14章 『再構築』
「じゃぁ、これからは。エドワードって呼ばせてもらうよ。」
「あぁ。いいぜ。」
サンドウィッチで手が汚れているから握手は無しで。
ごちそうさま。と店を出れば目の前には私服姿のアームストロング少佐。
「おぉ?ヒューズ少佐!奇遇ですなぁ。」
「えぇ。お出かけですか?」
「うむ、東の方へな。一緒にどうです?」
「いいですね。ご一緒しましょう。」
……この先、軍を首になっても役者として生きて行くって言う手もあるな。
横で何のことだか。とポカンとしているエドワードの手を引く。
「エドワード。君の故郷を案内してほしいそうだ。上官の言う事だ。ノーはないぞ。」
「え?え?」
なんとまぁ、ちょうどよくここを訪れていたアリスの車に乗り込み、エドワードのホテルを目指す。
どたどたと彼を引きずりながら、部屋に駆けこめば、心配そうな顔をしたアルとウィンリィさん。
「やぁ。アル、ウィンリィさん。エドワードに急な仕事が入ってしまってねぇ。二人は好きなだけ中央を堪能すると良い。アル。お兄さんを借りて行くよ。」
「え?あ、はぁ…?」
首をかしげるアルフォンスに、ここに二人滞在するには十分すぎるほどのお金を渡しておく。
それを見て目を丸くするウィンリィさんに悪戯っぽくウィンクをして、エドワードの背を急かし、荷物をまとめさせる。
「ささ!エドワード。上官が待ってらっしゃる。急ぎたまえ。」
「なんなんだよいったい!」
「ビーネ。いったいなにが?」
二人の疑問も解るが。こればかりは極秘だ。
「なに。ただの観光案内だよ。すぐ戻る。」
大丈夫。と笑顔をつけたして準備の整ったエドワードをすぐさまホテルから連れ出す。
車に放りこんで、僕は助手席に乗り込む。
「出せ。」
「はい。」
なんなんだよ!!と騒ぐエドワードに軽く銃口を向けて見る。
「エドワード君。これは上官命令だ。大人しく観光の案内をしてもらおうか。」
「……は?」
豹変した僕らの態度に少し委縮する。
そこにアリスが助け船を出していた。
「痛い事は無いから大丈夫だよ!副司令を信じていれば平気!」
これがフォローになっているかどうかはわからないが……。
あらかじめ手配していた列車に乗り込み、アリスとはここで別れる。
説明しろよ。とチクチク視線を感じるが、無視。