第14章 『再構築』
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「…ごめん。」
突然百面相を始めたエドワード君。
真面目な顔をしていたかと思った次の瞬間には、情けない弱弱しい表情になって、すぐに悩ましい表情を作る。
そしてようやく出てきた言葉。
「どうしようもないよ。誰も悪くない。」
「でも、中佐を巻き込んだのは俺の責任だ。なんとかして、元の姿に。」
「君がする事じゃない。僕がやる。」
「……。」
エドワード君はうつむいていて表情はわからない。
けれど、膝の上で握られている両掌は固く握られている。
僕はエドワード君の肩に手を乗せて、強く告げる。
「前は助けられなかった父親を、今度は自分の手で助けたい。二度も父親を失うなんて、情けないからね。」
ようやく顔をあげた彼の顔は許しを得た子供のようで、今にも泣きだしそうだった。
彼だって僕と同じ15歳。
僕が彼の立場だったらきっと泣いて喚いているだろう。
「エドワード君はアルフォンスを助ける。僕は父さんを助ける。それで良いんじゃないか?なぜこうなったかなんて、やってみなきゃ結果は出ない。錬金術師としては歯痒いけどね。」
困ったように笑ってみせると、彼は僕の顔をじっと睨みつけるようにして固まった。
そして、しばらく見つめ合っていると、不意に彼が口を開いた。
「ビーネ。お前、強いな。」
エドワード君の言葉に思わず視線を逸らし、うつむいた。
「…強くなんかないよ。強がってるだけ。本当はびくびくしてる。せっかくアルと仲良くなれたけど、僕の弱いところを見たら、アルは僕の事嫌いになるんじゃないかって、いつも怯えてるよ。」
「俺だって同じだよ。不安がってるところを、アルやウィンリィに見られたらきっともっと不安になるだろうなって。強がってる。」
同じだ。
同じ。
「今なら、誰も見てないから。泣いてもいいんじゃねぇか?」
「…ぅ。うっく……ふっ……うぅ」
いつぶりだろうこんなに涙が流れたのは。
とんとんと背中を叩かれると、もう、涙は止まらなかった。
声を押し殺して、顔をぐしゃぐしゃにして。