第14章 『再構築』
「中佐……。」
「痩せただろ?色が白いのは食事をしてないからだって、医者が言ってた。」
ベッドの横に二つ並んだイス。
一つには奴が座っていて、ヒューズ中佐の肩をポンポンと叩いている。
イスを勧められ、俺は動揺しながらイスに座った。
知らないうちに手が震える。
「もう、いつ起きてもおかしくないらしいんだけど。中々目が覚めなくてね。」
「ずっと、こうなのか?」
「あぁ。話しかけてりゃいつか起きるってさ。」
ぐっすりと深い眠りの中にいるだけのような中佐。
でも、グレイシアさんやエリシアちゃんを合わせないようにしているって。
あ。
あの時の、俺と一緒だ。
「――足が」
「両腕もだ。」
当たり前のような口調でそういってのけた。
「おまっ…どうしてこんな大事な事、隠してたっ。」
思わず奴の肩を掴んでしまった。
視線を向けた奴の目には意外にも怒りがチラついていた。
「エドワード君も気がついてるんだろう?この事件の犯人は、マリア・ロスなんかじゃない。賢者の石にかかわる者たちの仕業だって。」
「あったり前だろ!」
それ以外に何があるってンだよ!
「それに、殺されたエイドス中将がこの件を調べていたのなら、よほどまずいことだったんだろう。彼は汚職やら隠ぺいやらで動くような人間じゃないからね。」
「…じゃぁ、そんなことよりももっと。」
「うん。もっと。」
事態の重さに改めて気がついた。
ホントに小さな事じゃない事にも。
だから余計に、彼らを巻き込んでしまったことを後悔する。
「…ごめん。」
ぐるぐる廻っていた思考、けれど出てきたのは謝罪の言葉だった。