第14章 『再構築』
お見舞いに来るのにこんなに緊張したことなんてない。
アルフォンスとウィンリィには、軍へ用事があると言って来た。
「エドワード君。」
「あ?」
「…平気?」
病室への廊下を歩きながら、少し不安そうにそういうのは、見舞いに行く人物マース・ヒューズの息子、ビーネ。
いけすかねぇキザな男。無駄に綺麗な顔をしててムカつく奴。
「平気って、どんな状態か教えてもらってないのに答えられるか。」
「母さんやエリシアも病室に入れないくらいだよ。さ、ここだ。」
奴が立ち止ったのは、集中治療室からそれなりに近い、ナースステーションのすぐ隣。
そこには一人の軍人が護衛のために立っていた。
「あ、ビーネさん。」
「フーバー、ご苦労さまです。」
「お疲れ様です。あの…お父様の容体はかわりありません。」
「うん。ありがとう。」
衛兵は奴の部下だ。
付けている胸章が奴のものと一緒。
中に入れば、普通の病室にしては多いケーブル。
白いカーテンの向こうからは、ピ、ピ、と機械音。
「父さん。開けるよ。」
先にカーテンの中へと入って、ヒューズ中佐に声をかける。
しかし、ヒューズ中佐の声は聞こえず、起き上がるような音も聞こえなかった。
「父さん。エドワード君が来てるんだ。」
ガララ。とイスを引く音が聞こえ、思わず唾を飲み込んでしまった。
心臓が激しく鼓動する。
シャ、と開けられるカーテン。
一番に目に飛び込んだのは、ヒューズ中佐の白い顔。
それから機械の多さに驚いた。