第13章 『分解』 6
「私は、エドワード君とアルフォンス君の事責めようとは思わないわ。主人もきっと、あなた達の事を止めたりしないはず。賢者の石とやらがダメなら、他の方法があるかもしれないじゃない。自分達の納得する方法で前へ進みなさい。」
グレイシアさんは、優しく微笑んでそう俺たちを励ましてくれた。
「じゃ、送ってくよ。母さん、エリシア寝てるから。」
「えぇ。ありがとう。」
トランクを手に奴は、少し急くように俺達の背中を押した。
前をアルとウィンリィが歩き、何故か俺が、がっちりと奴と肩を組んで二人の後ろを歩いている。
「君たちを責めるわけじゃないが、父さんに会って行くか?」
特に何を話すでもなく、身長の差ばかりが気になって歩いていたが、アル達とそれなりに距離を取ってからようやくしゃべった。
アルやウィンリィを連れて行きたくはない。そういう事なんだろう。
「あぁ。」
俺の返事を聞いてようやく離れる。
今は軍服ではなく私服、それにダブリスに来た時のようなトランクを手に持っている。
仕事か、忙しい奴だな。
・・・