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七色の雫 ~生きる道の再構築~

第13章 『分解』   6



真っ先にアルが声をかける。

「ウィンリィ、迎えに来たよ。」
「ん…ごめん。」
「いや、俺たちも…ごめんな。」

俺が謝ることに少し疑問をもったんだと思う。
辛い思いをさせてごめん。
俺はグレイシアさんへ向きなおる。

「グレイシアさん。グレイシアさんにも話しておかなければならないことがあるんです。……いいですか?」
「ウィンリィも、一緒に聞いてくれる?」

グレイシアさんはウィンリィの隣に腰掛け、俺たちは二人の前に座った。
俺たちは話した。
まず、家族の事を、どうしてこんな体になったのかを、どうして軍と関わることになったのかを……。

「―――この前、兄さんが怪我をして入院中に、ヒューズ中佐が色々と面倒を見てくれて…石の事もついでに調べてくれたんです。軍法会議所の資料をひも解いて…でも、それはどうやら、軍の暗部につながる極秘の…一般人が知ってはいけないことだったんです。大総統自ら『危険だ』と制止に来るほど…」

真実をネジ曲げないように、自分たちの主観を取り除いて話しをした。

「主人は何かを知ってしまった…もしくは、これ以上首を突っ込むなと言う犯人側の警告ね?」
「おそらく。」

話しをして、自分自身も整理がつく。
それほどまでに重要で大きな物事に、自分たちが首を突っ込んでいるんだと、再認識した。

「俺達が…俺達が巻き込んだも同然です。すみません。すみませんっ!」
「すみませんっ。」

いくら頭を下げたって許されることじゃない。

「元の身体に戻ろうとすることで、この先また被害者が出るかもしれないのなら、ボク達は、もう……」

アルは言葉を詰まらせる。
せめぎ合う心の葛藤が嫌と言うほど伝わってくる。

「人助けをしようとして、あぁなったのなら、あの人らしいわね。昔からお節介の世話焼きで損してばかりなのよ、あの人。でも、その損以上にたくさんの幸せがあったわ。」

俺たちを責めるような言葉は無かった。

「僕も、いいかな。」

突然の声に肩がびくついた。
ビーネだ。
彼には、もっと謝らなければならない。
彼の上司すらも奪ったんだから。

「君たちの過去を聞くだけ聞いて、僕の事を話さないのはイーブンじゃないから、聞いて。」



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