• テキストサイズ

七色の雫 ~生きる道の再構築~

第13章 『分解』   6



「何でここにいるんだ!」
「そりゃあこっちのセリフだ!ええい、ジャマすんな!」

いきなり鎧男が刀を振りまわし、慌ててそれを避ける。
すこし距離を取ってから、後ろにいるロス少尉に向き直った。

「ロス少尉!どういう事だよ!ヒューズ中佐を…」
「構うなねェちゃん!そこの裏道から一直線に倉庫街に逃げな!あそこの暗闇なら逃げきれる!」
「で、でも…」
「急げ!憲兵が来たら射殺されるぞ!」

わずかに逡巡したロス少尉。
けれど少尉は鎧男の指示に従う決意をしたようだった。

「……っ!エドワード君ごめんなさい!後で説明するわ!」
「待って……、おわっ!」

俺の行く手を阻むように鎧男が剣を振るう。

「おめェらに構ってるヒマ無ぇんだよ!」
「くっそ!」
「ロス少尉ー!!」

走り去る少尉の背中に俺たちは歯がゆさを抱きながら、見送ることしかできなかった。
なにが、何が起こってるんだ!
目の前の敵と交戦。と言うほどでもないがお互い道を譲らない。
その時、圧倒的な熱と爆音が響き渡った。

「うぇ?!」

鎧男にとっても予想外の事だったのか、後ろを振り返る。
『憲兵が来たら殺されるぞ!』鎧男の言葉が脳裏によぎった。
俺から外れた視線は好機。俺は思い切り地面を蹴って走り出した。

「やぁ、鋼の。」

随分長い間、煙の立ちこめる路地を走っていた気がした。
声を掛けられて、ようやく目の前にいる人物が誰だか理解した。

「………どう……して……」



/ 306ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp