第13章 『分解』 6
けれど、少しばかり違和感の残る奴の態度と、大佐の様子。
「兄さん!!」
扉をけ破る勢いでアルが新聞片手に突っ込んで来た。
ビックリした反動でソファーから落ちそうだった。
「ア、アル!びっくりさせんなよなー。」
「兄さ…」
「なんだよ?」
「フロントで…新聞が、これ…」
そうとう動揺しているアルフォンス。
震える手で新聞を握る彼から、新聞を受け取る。
バサリと開いた新聞。
俺は目を疑った。
「なんっ…だ、こりゃ、ぁ…」
「に、兄さん…!」
「マリア・ロス少尉を、先月のログア・エイドス中将殺害、マース・ヒューズ中佐殺害未遂事件の犯人と断定…!?」
動揺。
その言葉一つだった。
「ビーネは、だから…ヒューズさんは中央には居ないって、嘘を…」
……くっ!
コートを手に取り部屋を飛び出した。
ちょうど隣の部屋からウィンリィが出て来るところだった。
「ちょっと、どうしたのよ二人とも。」
「悪いウィンリィ!確認してから説明する!」
「え?何を?」
「行くぞ、アル!」
「う、うん」
きょとんとするウィンリィ。
事実を確認しないまま、紙切れに書いてあることをありのままに信じられるほど素直じゃない。
「ちょ、なにがあったのよーっ!」
怒鳴り声を背中に聞きながら、俺たちは走った。
町に出ればにわかに騒がしく感じた。
脇道から、声が聞こえた。
「アル。」
「だれ、だろう。」
その声は、俺たちのいる路地の方へと、曲がってきた。
「ロス少尉!?」
「エドワード君にアルフォンス君!」
あー!あの時の!とアルが鎧姿の男を指さす。
鎧男もアルに見覚えがあるのかアルフォンスを指さしていた。
更にまたどこかで行き倒れたんじゃないかと思っていた、リンの姿もあった。