第13章 『分解』 6
「あ、そうだ。ヒューズ中佐っていつごろ戻って来るか知ってる?」
「ヒューズさんは元気ですか?」
にわかに大佐と中尉がたじろいだ気がした。
大佐の視線はアルの横にいる奴の方に一瞬走った。
何も言ってないのか。と言う風に。
「ロイも知らないよ。誰も知らないんだ。」
「…なんだよ。」
お前には聞いてねーよ。と睨みつけるが変わらず少し曇った表情をするばかり。
思わずアルと視線を交え、首をかしげてしまった。
「まぁ、そういう事だ。賢者の石とホムンクルスだったな。何か情報があったら連絡しよう。」
行くぞ、中尉。と大佐はまた車に乗り込んでしまった。
「あぁ。鋼の。先走って無茶はするなよ。」
「あ、あぁ。ほどほどにしとくよ。」
無茶はしない。
わかってる。
残された俺たちは今日の宿を探しに向かう。
「あ、お前どうすんだよ。」
さっきから一歩も動いていなかった奴に話しかける。
「僕は、職場に顔を出さなきゃ。宿はいらないから。また。」
「あっそ。じゃぁな。」
「ビーネさん。またね。」
「またね。あぁ、ウィンリィさん、夜はなるべく出歩かないように。」
「うん。ありがとう!」
いけすかねぇ奴。
「ヒューズ中佐、忙しいんだな。」
「しょうがないよ。」
「会いたかったのになー。」
ホテルを見つけ、各々部屋でくつろぐ。
俺は手帳を開き、情報を整理する。