第13章 『分解』 6
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軍の正門へ到着すると幾人かの軍人が居た。
その中で一際目立つ、金髪の女の軍人を見つけ少しホッとする。
「あれー?ホークアイ中尉がいる!」
「あら!エドワード君にアルフォンス君!」
東方司令部にいるはずのリザ・ホークアイ中尉。
「あ!あのときのお姉さん!」
「あなたたしか、リゼンブールの…」
「はい!ウィンリィです。」
「すっかり綺麗になって。」
仲良さそうに話す女二人。
そして、不自然なまでに緊張しているように見える奴の姿。
「リザさん。お久しぶりです。」
「ビーネ君!一緒だったのね。」
「はい。」
特に嬉しそうな顔をするでもなく、あくまで義務的な挨拶。
はっ!
「待て!中尉がいるってことは…」
キキッ。と俺たちの横に止まった軍の車両。
「やぁ、鋼の。」
げっ。
「何だね、その嫌そうな顔は。…ん?そちらの可愛らしい女性は?」
大佐の視線がウィンリィに向かう。
ウィンリィが大佐の魔の手に!?
「ロイ。不躾じゃないか?挨拶ぐらいしたらどうです。」
厳しい冷たい声が大佐の動きを止め、あろうことか奴がウィンリィをかばった。
「これは失礼。副司令。ご旅行から戻られて何よりです。」
「ウィンリィさん。こっちの男はロイ・マスタング。女たらしの軽い奴です。引っかからないように!」
「何てことを言うのかね、ハニー。」
「事実を伝えたまでだよ。ロイ。」
ばりばりと視線がぶつかり合う音までも聞こえてきそうな二人。
ようやく我に返った俺は大佐がなぜここにいるのかを問いただした。
「先日からセントラル勤務になったのでな。それで、今日はどうした?」
「あぁ、情報収集に来たんだ。賢者の石と人造人間について調べに来たんだけどさ。」
「ホムンクルス?無茶を言うな。『人を作るべからず』と命令している軍から、そんな情報がホイホイ出るものか。」
「そりゃそーか。」
少しも考える様子も見せず、大佐はそう言い切った。
なにバカな事を言ってるんだと言いたげに。