第12章 『分解』 5
~~~~~~
ゆっくり挨拶をする間もなくエドワード君はスパナでミンチにされていた。
そんな時にちょうど彼らの友人だと思われる、身がるそうな少女がやって来てアルと話しこんでしまった。
僕は仕方なくエドワード君の腕を直す、ウィンリィさんに見学を申し出でる。
「あんたって本当に進歩無いわね!いくつになっても人の言う事聞かないし!子供かってのよ!」
「だからってあんな思いっきり殴ることねェだろうがウィンリィ!もう少しであの世の境目を垣間見るところだったぜ。」
まるで夫婦漫才のようなやり取りに思わず笑い声が漏れてしまう。
不機嫌なエドワード君の視線を貰うが、止まらない。
「笑ってんじゃねェよ!」
「あはは、ごめん。」
ウィンリィさんはエドワード君の機械鎧をテーピングしながら、落ち着いた声でエドワード君にたずねる。
「ダブリスの師匠の所で、収穫はあったの?」
「うーん、まぁな。遠回りだけど前に進んでる…かな」
「そ、ならいいわ。…そう言えば、ビーネさんはどうして?」
「あぁ、今、休暇中なんです。それで、たまたま彼らと会って一緒に。ウィンリィさんこそ、どうしてここに?」
エドワード君が曖昧に言葉を濁したという事は、彼女は詳しくは知らないのだろう。
だから、適当に話しを合わせる程度にしておいた。
空気を読んで僕も言葉を濁せば、なぜかまたエドワード君に睨まれた。
好意で一緒に旅をしているわけではないってか?
「あたしは、自分の腕を磨くためよ!」
どん。と胸を叩きながら熱く機械鎧の事を語るウィンリィさん。
半分も理解はできないが、彼女の機械鎧への情熱は十分にわかる。
そこへようやくアルフォンスも戻ってくる。
「で、あんたたちはこれからどうすんのよ。」
「あ、あぁ。中央軍部で調べ物しようかなと思ってんだ。」
「えー!中央に行くの?あたしも行きたいな!」
「なにしに行くんだよ。」
「ヒューズさんたちにお礼しに!」
あぁ、そりゃ困るな。