第12章 『分解』 5
「アル。こっちは解るか?」
「え、と。……こう?」
「まぁ、正解だな。こうした方がいいけどねぇ。」
列車に乗ってからずっとこう。
イライラする。
「ビーネ。これをこうするのはどう?」
「だったらこう書くのが良い。…だろ?」
「うん!」
アルが奴と楽しそうに錬金術の話しをしているのが、ムカつく。
名前で呼び合ってるのも余計にムカつく。
何でこんなに仲いいんだよっ!
「なぁ!アル!」
「ん、なに?兄さん。」
「…いや、別に。」
「変な兄さん。兄さんも一緒に話し聞いたら?面白いよ。」
「別にいい。」
あー、もう。早くつかねぇかな。
ようやく付いた、ラッシュバレー。
ウィンリィは元気かな。
「わぁ!ビーネ、そっちじゃないよ!」
「えぁ?」
……。
そんなに人がいるわけでもないラッシュバレーの駅。
俺たちの行く方から、ちょっと外れて見当違いの方向へ行く奴をアルが呼び寄せ、その後ろをピタリと歩き奴が迷子にならないように気をつけている。
「アル。俺は先に行くぞ。」
「え、あ。ちょっと待ってよ!」
身体の大きなアルは人通りの多いところでは歩きにくい。
それにコブがついてりゃなお大変だろう。
アルの歩みが遅いのは困る、早くウィンリィの所で腕を直してもらいたいのだ。
「…アル!荷物もて!」
「え?」
俺は奴の荷物を奪い取りアルに押しつけ、俺は奴の腕をむんずとつかみウィンリィの居るガーフィール工房を目指す。
「いいのに、エドワード君。場所さえ教えてくれれば合流するけど。」
「アルを連れてかれちゃ困るんだよ。」
「一人で行けるよ。ガキじゃあるまいし。」
ぶつぶつと文句を言う奴を無視して、工房へ向かう。
ウィンリィは店先にいた。
「いよ!ウィンリィさん!本日も良い天気で、ご機嫌麗しゅう!」
「エド!アル!ビーネさん!」
「いやぁ、商売繁盛してらっしゃるようで何よりでござんすねえ!」
腕の事を言う前に多少でもご機嫌を取っておかないと後が怖いからな!
「もー、本当にいつも連絡なしなんだからー。どうしたのよ急に。」
さて、審判の時だ。