第11章 『分解』 4
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目の前に倒れるアルフォンスの胴体の中には、さきほどアルの身体の中に入っていた女の人の遺体があった。
剣で一突き。
エドワード君とアームストロング少佐を手伝って、アルの鎧を開けて中から死体を取り出す。
そうとう気持ち悪かっただろう。
意識を取り戻したアルフォンス、中から取り出した彼女の遺体を見て、助けられなかった、と悲しんだ。
「……さ、帰ろう。師匠が待ってる。」
「うん。」
頭に包帯を巻いたアームストロング少佐も今回ばかりは少し大人しく彼らの横に立っているだけだった。
視線と激しい気配を感じ振り返ると、大総統が部下の間から歩いて来ていた。
「待ちたまえ。君たちには聞かねばならんことがある。ここの黒幕…ウロボロスの印を持つ男と何か取引をしたのかね?」
あからさまな尋問。
する側に立つ僕には、質問の意図が見えすぎている。
「何も」
「重要な情報を聞き出したりは?」
「…何も、軍の利益になるような事は…」
「勘違いするな。軍のためではない。もし奴らと取引していたら、場合によっては君たちを始末せねばならんからだ。」
ならば答えは否しかない。
否と言え。と案に命じているようなもんだろ。
きっと、この会話はこれを聞くのが目的じゃない。
「軍の中枢に害なす奴らと利害関係にあるならば…」
「ありませんよ。他に質問は?」
冷静に大総統の言葉一つ一つに気をつけながらエドワード君は言葉を選ぶ。
「君の鋼の腕と弟の鎧姿…何か関係があるのかね?」
ただ、この質問だけは無反応で、とはいかなかった。