第11章 『分解』 4
「がっはっは!ただの猪突猛進なバカガキどもかと思ったら、いやはや。気に入ったぜ!だが戦うにゃ、ちと相性は悪いな。逃げさせてもらう。」
「な!」
逃げの姿勢をとるグリード。
追おうと前に立つビーネを抜かそうとしたが、奴に掴まれて進むことは出来なかった。
奴を振り返ったその後ろには、軍服を着た憲兵の姿が見えて驚いた。
「少年と副司令官を発見!」
グリードは声高らかに笑い、この場を逃げて行く。
追おうにも押さえられていて動けない。
「エドワード君!」
鋭い奴の声に思わず睨みつける。
すると、奴は俺の方を余計な事はするなと言わんばかりに睨みつけていた。
大人しくすれば憲兵達は俺を解放してくれた。
早く、アルを探しに行きたいがまずは先ほどから異常な空気を醸し出している奴の所へ近付いた。
「……んだよ。」
「おかしい。」
「は?」
ものすごく不機嫌な様子のビーネ。
イラついたように口を開く。
「何で、僕が中央監査の副司令だと知っていた?ほとんどお忍び状態で旅行にきてるんだ…」
「そんなのお前が有名人だからじゃねーの?」
「こんな、南でか?」
……まぁ、奴の疑問も何となくわかるが、まずは
「アルフォンス君、きっと無事だよ。アームストロング少佐と大総統もここへ来ている筈だ。」
「え?」
「あー、むかつく。」
未だに理解が及ばないが、奴がグリードの逃げて行った方向へ歩き出したのでそれに続く。
腕を見下ろせば外装は取れ、いくつもネジが無い。
かろうじて動くがすぐに限界が来るだろう。
一方前を歩く奴はコートを少し汚した程度、鋼鉄で腕を殴られたにもかかわらず骨折すらしていない。
ぶつぶつ文句を言う奴の後に着いて行けば、目の前にはアルフォンスが倒れていた。
「アル!?」
大量の血を流してその場に倒れているアル。
慌てて駆け寄った。