第11章 『分解』 4
「いやぁ、身体の構造や構成物質は普通なんだけどな。ちょいと再生能力が過ぎるのと『最強の盾』があるだけだ。」
「まさか、不死身…とか、ファンタジーな事、言わないよな?」
「おぉ!なれたらいいねぇ、不死身!わかったろ?お前は俺に勝てねぇ。この盾に傷一つ付ける事も出来ねぇ。取引した方が利口だぜ?」
……やべぇ、突っ込むところが多すぎでどこから突っ込めばいいのかわからん。
とりあえずは、キモイ。ってことぐらいでしょう。
エドワード君は自分の剣に錬成した腕を見る。
刃先は少し欠け、彼の盾とやらがいかに硬いかを物語っていた。
「それにだ…」
グリードがエドワード君と彼との間ほどの位置に隠れていた僕の所へやって来て、唐突に僕を人質に取った。
「ヒューズ…!」
「はっは!ある物をつかわねぇ手は無いからな。」
えー……めんどくさ。
僕の後ろには硬化していないグリードの腹、目の前には焦った顔のエドワード君。
そして、僕の喉元にはグリードの硬化した鋭い爪。
首の皮膚が切れ、血が流れ出すのを感じる。
「…お前、あれだな。自分が傷だらけになるのは平気だが、身内がちょっとでも傷つくのには耐えられなくて、冷静さを失う!」
エドワード君は反論せず、ぎりりと歯を食いしばっている。
「愚かだな。そうやって激情に任せて、貴重な情報も弟も失うか?」
溜めに溜まった怒りをぶちまけるため、息を吸う。
「ふざけんなっ!俺は弟をてめーらに渡すつもりはねぇ!」
「あのー。」
僕を押さえつけているグリードの腕をぽんぽんと叩きながら、発言権を求める。
「あん?なんだ、兄ちゃん。トイレか?」
「いや、トイレはしてきたんで大丈夫なんですが、エドワード君に一言良いですか?」
首をかしげるグリード。
僕が戦えるような人間ではないと判断したのか、腕を緩め解放してくれた。
上手い事騙されますね。
「エドワード君。僕もいる事すっごく忘れてない?」
「忘れてなんかねェだろ。」
「いやいや、忘れてるって。」