第11章 『分解』 4
「殺すなよ。」
戦闘態勢に入ったお兄さん。
…エドワード君一人で大丈夫かな。
お兄さんはエドワード君に切りかかるが、彼はそれをジャンプして避ける。
「遅ぇな。どっかの死刑囚より、全然遅ぇ。」
そう言いながら、お兄さんの顔面に蹴りがクリーンヒット。
お兄さんダウン。
準備運動を済ませたエドワード君は、機械鎧の腕を剣のように錬成する。
「次!」
空手の師範代のように、次の獲物を求める。
グリードは部下に命令を下し、アルを連れて行かせる。
「アル!」
追いかけるべきか。
「おっと、後ろの兄ちゃん。そうはいかねぇぜ。さぁ、ききわけの無ぇガキには、仕置きが必要だよな?」
僕とエドワード君の行こうとした先にはグリード。
上手い事二人まとめて足止めしてきやがった。
エドワード君はさっさとけりをつけるつもりか、地面を蹴って刃を向ける。
「なっ!?」
ガキィン!と硬質な音がこだまする。
グリードは素手で受け止めてたように見えたぞ。
とっさに確認すれば、武器でも何でもなく、彼の腕が硬化しエドワード君の刃を受け止めていた。
徐々に硬化の範囲を広げて行く、グリードの腕。
「エドワード君!」
「チッ…」
僕が叫んだときには時すでに遅し、グリードは彼に切りかかり、エドワード君の頬を爪が掠る。
そこから、二人の攻防が続く。
僕はそこからちょっと離れて、役立たずのビビりを演じ続けていた。
……屈辱。
「脳天、ガラ空き!」
エドワード君がグリードの隙をついて、彼の頭を地面にたたきつける。
しかし、エドワード君も無傷と言うわけにもいかず、脇腹をやれれた。
「おー、痛てぇ…普通の人間だったら、病院送りだぞ。」
頭から血を流すグリード。
しかし、その傷口はすぐに再生した。
「全然、普通じゃないのな。」