そしてこの道が続いたら【Mr.FULLSWING】
第4章 外野組
「あの!××・・・!」
犬飼の珍しい大声に、○○は犬飼を揺さぶるのを止めた。
よろよろと上体を起こす犬飼。
犬飼はすっかり涙の引っ込んだ○○としっかり向き合った。
さっきまでの涙できらきら輝く瞳。
まさか俺のことが好きだったなんて。
「とりあえず・・・!」
犬飼は大きく息を吸った。
「とりあえず、俺も好きだ!」
しばらく沈黙が続いた。
犬飼の声は外野のメンバーの耳にもしっかり届いていた。
ボロボロボロボロ・・・
○○の目からまたしても大粒の涙がこぼれにこぼれた。
「お、おい!?」
何が何だか分からなくて慌てふためく犬飼。
○○は涙を拭う事も無くただ泣くばかりだった。
「え、ちょっ・・・なんで泣くんだよ?」
「ごめっ・・・!あの・・・う、嬉しくて!」
「は?」
「だってまさか!犬飼君が、あたしのこと・・・好きなんてぇー!」
びえーっ!と効果音が付きそうな勢いで泣く○○。
どうしていいか分からない犬飼は、○○の頭にその大きな手を置いた。
「とりあえず、泣かないでくれ。」
「ごめんー!」
ようやく涙を拭う○○。
犬飼もようやくどうにか息をつける思いだった。
「本当に好き?」
「あぁ、本当だから。とりあえず泣き止んでくれ。」
「好き?」
「え、あ・・・す、好き、だ。」
「・・・うっ・・・うえぇーん!」
「お、おい!なんでまた泣くんだよ!」
犬飼は○○が泣き止むまでその頭を不器用に撫で続けた。