そしてこの道が続いたら【Mr.FULLSWING】
第3章 野球部仲良し1年組
「××、アイツはなぁ!」
耐えかねた猿野が○○に犬飼の気持ちを言おうとした。
「犬はお前が・・・!」
が、その言葉は辰羅川の上げられた右手によって制止させられてしまう。
「××さん、この道を真っすぐ進んで2つ目の信号を右に曲がってください。今ならまだ間に合います。
ちょうどあそこには小さな公園があるんですよ。多分その辺りで捕まえられるんじゃないでしょうか?」
「辰羅川・・・?」
「今日こそ決める、でしょう?」
2週間前と同じ悪戯っ子な笑顔を向けられ、○○はハッと目を見開いた。
そうだ、今日こそ決めるんだ。
「分かった!みんな、骨は拾ってね!」
「早く行けー!」
「走れ走れー!」
「とちるなよー!」
一同の声を背に、○○は全速力で走った。
その背中にもう迷いは無かった。
○○が2つ目の信号を曲がるかという頃、辰羅川が一同に向かって指示を飛ばす。
「さてみなさん、我々も追いかけますよ。」
ただ見送るしかなかった一同は一斉に破顔して喜ぶ。
「おうよ!」
「やっぱり見届けなきゃっすよね!」
「急がないと追いつかないかも・・・。」
「みなさん急ぎましょう!」
「おぉ!凪もノリノリだな!」
「司馬君、早く行こうよー!」
こうして野球部仲良し1年組は、いつものようにわいわいがやがやと追跡を再開するのであった。
その頃、犬飼が頭から湯気を出しているという美味しい状況になっているなんて、
この時のメンバーは思いも寄らなかったのだけれども。