第1章 ヒロインサイド

たまたま帰る方向が一緒で。
たまたま帰る時間が一緒で。
たまたま２人きりで帰る事になって。

なんて、みんなが気を効かせてくれただけなんだけど。

今日こそ伝えたい。毎日そんなこと思ってる。
でもどうしても勇気が出なくて。
そうこうしてるうちに駅に着いてしまう。

「じゃあな。」
それだけ言ってあなたはあっさりと駅の向こうの家に帰ってしまう。
あたしはその背中を少し見送ってから改札を抜ける。

あぁ、また今日もこの気持ちを伝えられなかった。