第11章 人の話は最後まで聞くべし【沖田視点】
「…つまり、惚気だけ聞かされて俺は認めてらもらえねェってことですねィ」
「あたりめーだバカ野郎、結衣の口からお前が好きっつーまで認めてなんかやるかよ…それでも認めたくねェけど」
ほんのり頬を赤くしたまま旦那は席を立ち、勘定を済ませる為財布を出した
「旦那、俺払いまさァ」
「…あ?今のお前に奢って貰っても嬉しくねェんだよ、逆に何か裏ありそうで怖ェわ」
「別に裏なんかありやせんよ、旦那の本当の気持ちも聞けたんでねィ」
「…お前さ…結衣のどこがいいわけ?」
屋台から出た旦那は振り向き言った
「だって考えてみろ、ガサツだしバカだし、女子力ないしアホだし女子力ないし…マヌケだし女子力ないし」
「旦那…それ大石の前で言ったら半殺しにされますぜ」
「良いところなんてねェだろ?それに沖田くんなら嫌でも寄ってくる女は他にもいるだろうし…何でアイツなんだよ」
旦那の言葉に俺は静かに屯所への道を歩いた
「オイ…」
「旦那…それは旦那が1番わかってんじゃねェですかィ?」
「…」
「アイツに惚れてんなら…旦那もわかってるはずでィ」
旦那は俺を見つめた後、あ〜ッと頭を掻いて俺とは反対方向に歩き始めた
「沖田くん、」
「…」
「早く振られちまうこと祈っとくわ」
手を振りながら不敵に笑う旦那を見つめ俺も笑った
「勘弁して下せェ」