第11章 人の話は最後まで聞くべし【沖田視点】
「何慌ててんですかィ」
「いや慌ててねェよ!寧ろ荒れてるわ!!」
「何でェ、惚れてんのかって聞いてきたのはそっちじゃねーですかィ」
「確かに言ったけど!そんな直球で恋とか決めつけんのは早いと思うようん!!ほら、きっと長い時間一緒にいるから親愛を恋愛と勘違いしてるのかもしれないね!!」
「いやでも無防備に1つ屋根の下で寝てるアイツを見て襲いてェと思ったら…もうそれは恋しかねェでしょ?」
俺の言葉に旦那は飲んでいたビールを吹き出した
「え、あれ?うん?…今なんかとんでもない幻聴が聞こえてきたんだけど!!警察が言ってはいけない言葉が聞こえたんだけど気のせいだよね!?お願い気のせいだと言ってくれ!」
旦那は盛大に溜息をついて店のオヤジににもう一本ビールを頼んだ
「つーか何?何で俺に言うわけ?」
「さすがに近藤さんや土方さんに話せることじゃねーでしょ」
「だから何で俺なの?ナメてんの?」
「土方さんなんかに話したら切腹モンかもしれねェ」
「俺なら大丈夫ってか?やっぱナメてんだろ、銀さんは切腹じゃ済まねーぞコノヤロー」
顔に青筋を浮かべ俺の頭を鷲掴みする旦那
「旦那、俺ァこう見えても結構本気なんですぜ」
「…」
「俺は以前アンタがした質問に答えただけでさァ」
そう言って旦那を見つめると、同じように旦那も俺を無表情で見つめる
そうして数十秒沈黙が続いた後、旦那は俺から手を離し再び席に座り直した
「…わかってたよ、んなこと」
「…」
「お前が結衣のこと前から気にかけてたのは知ってるし…結衣がお前のことを慕ってんのも知ってたさ…
けどよ、やっぱりアイツのことは昔から見てきたから…これからもずっと俺が護ってやらなきゃいけねェって思ってた」
「…」
「親愛とか恋愛とか、好きとか嫌いとか…そんな一言で表せるモンじゃねーんだ…俺は、1人の人として…結衣に惚れてんだよ」
そう言った旦那の顔は酒のせいか、いつもより表情が緩んでいた