第10章 再会が必ずしも良い事とは限らない
沖田隊長は無表情で相手の男を見つめる
男も沖田隊長を見つめ薄っすらと笑みを浮かべると口を開いた
「その方をこちらに渡して頂だけますか」
「うちの隊士が何かご迷惑おかけしましたかィ」
「うちの隊士?…あぁ、なるほど何処かで見たかと思えば、真選組一番隊隊長沖田総悟さんですか」
沖田隊長は目の前の男を見つめたまま私の腕を掴み後ろへ引っ張った
「迷惑なんてとんでもない。私たちはただ彼女に少しお話があるだけですよ」
「話?」
男は黙って目線を私に移す
「結衣様…もう時間切れですよ。貴女はもうそこにはいられない、わかっていますよね?」
「お前…こいつらのこと知ってんのかィ?」
私を見つめる沖田隊長と私は目を合わせることが出来なかった
「とにかく、大人しくその方をこちらにお渡し頂ければ誰にも危害は加えません」
「…」
沖田隊長はゆっくりと自身の刀に手を掛ける
『沖田隊長…?』
「生憎、こちとら田舎育ちの芋侍なもんでねィ…理由も無しにはい、そうですかつって引き下がる程聞き分けが良くないんでィ」
「…そうですか、出来るだけ手荒な真似はしたくなかったのですが…残念です」
次の瞬間、双方の剣が交わった
バシッ
キンッ
いきなり斬り合いが始まり、周りの人達は悲鳴を上げ逃げていく
駄目だ…こんなとこで斬り合いなんてしたら町の人達が…!