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星の砂【銀魂】

第10章 再会が必ずしも良い事とは限らない


自販機のボタンを押してゴトンッと落ちてきたジュース缶を拾う


何だか今日は疲れたな…。

沖田隊長に奢ってもらった餡蜜は美味しかったけど、心臓は落ち着かないし…正直あまり休んだ気はしない。


『もう今日は帰ったらすぐ寝よう…』


両手にジュース缶を持って沖田隊長のところへ行くが、何故かそこに沖田隊長の姿はなかった


『あれ、沖田隊長?』

一体どこに行ったんだろう…。

ま、まさか嫌がらせで勝手に1人で帰ったんじゃ…


沖田隊長ならやりかねないし、物凄く腹が立った私も屯所へ帰ろうとしたその時だった


『む、グッ!?』

突然後ろから口を塞がれ身動き出来なくされた

「しーッ…、騒がないでください」


くそッ…どうして気づかなかったんだ!

「静かに…」

誰!?


『む…グッん!!』

「騒がないと約束するなら離します」

耳元で囁かれた言葉を理解し、静かに頷くとサッと口を塞いでいた手が離された

隙を狙って振り向くと目に映ったその人物に私は驚きを隠すことが出来なかった

『な…んで…』

「大石結衣様ですね?」

嘘だ…



そんなはずない…。


「ご同行願います…」

唖然と見つめているとその人物の後ろから数人の男達がやってきて、再び腕を掴まれる


『ッ離して!!』

勢いよく腕を振り払い奴らがいる側とは反対方向へひたすら走った


いやだ…いやだ、嫌だッ!!


袴ということもあって速く走ることが出来ない


逃げる私を彼らも追いかけて来る


『グフッ!!』

躓いては転んでを繰り返しながら私は必死に奴らから逃げた


助けて…誰か…



助けて、沖田隊長ッ!!



ふと顔を上げると前方から沖田隊長がこちらへ向かって歩いて来るのが見えた


「おー…悪ィな。ちと厠に…」


彼が言い終える前に私は勢いよくその胸に飛び込んだ


「ッ!大石…?」


『た…助けて』


ギュッと彼の服を握り締めた


「何言って…」


次の瞬間、私を追って来た奴らが私と沖田隊長の周りを囲んだ


「オイオイ…ちょっと1人にしただけだってのに、こりゃえれェ人数に言い寄られてんじゃねーか」

「彼女をこちらへ渡してください」

沖田隊長と目の前の男の視線が交わる


「全く…世の中には物好きもいたモンだねィ」

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