第9章 何気ない事で人の心は動かされる
公園に着いて辺りを隈なく探したけど、結局御守りは見つからなかった
『うわ、もう6時だ』
すっかり外は暗くなっていて公園で遊ぶ子供はみんな家に帰って行った
「やっぱり…見つからないのかな」
『…ね、公園で何して遊んでたの?』
「…えっと、ブランコしてお砂場で遊んで…あ!あと木登りしたよ!」
『木登り?』
「うん、あの木!!」
そう言って男の子が指差す先には大きな木があった
よく見るとその木の枝には細い紐が巻きついていて四角い布も見えた
『お、御守り発見!!』
「本当!?」
きっと木登りしてた時に引っ掛けちゃったんだ。
『大丈夫、私取ってくるね』
「うん…」
暗いせいか、足の踏み場が見えにくいけどこの高さなら…。
木の窪みに足をかけ上に登る
「お姉ちゃん頑張れ!!」
あと…少しで
『もうちょっと…』
パシッと御守りを掴んだ次の瞬間、
『うぎゃッ』
「お姉ちゃん!!」
誤って足を滑らせ後ろに倒れた
痛みを覚悟して目を瞑ったが、いつまで経ってもその痛みは襲ってこなかった
恐る恐る目を開けると目の前には沖田隊長の顔があって
「何やってんでィお前は…」
私は沖田隊長によって受け止められていた
『お、沖田隊長!こんな所で何してるんですか?』
「それはこっちの台詞でィ、さっき帰ってきたら近藤さんがお前がまだ戻ってないって言うし」
『あ…実はこの御守りを…そうだ!』
私は男の子に御守りを渡した
『はい。見つかって良かったね』
「うん!ありがとうお姉ちゃん!!」
『気をつけてね』
お辞儀をして嬉しそうに走っていく男の子を見て私も自然と笑みが溢れた
『何だか私、今すごく良い事したなーって思います!』
『へェ、それは良かったねィ』
ちらっと沖田隊長を見るとその頬からは薄らと血が滲み出ていた
『…沖田隊長、ひょっとして怪我したんですか?』
「あ?…あぁ車ん中でホシが懐に隠してた小刀振り回しやがったんでィ。それが右頬に当たっちまっただけでさァ」
『…私も行けば良かった』
「…別にお前が居ても、大して状況は変わんなかっただろうぜ」
『それはそれでへこみますね』
「そんなことより、さっき落ちてきたお前を受け止めたせいで腕の骨が折れてないかの方が心配でィ」
『どんだけ重いんですか私は!!』