第5章 優しさにも色々な種類がある
目を覚ますと冷たいコンクリートの上に横になっていた
ここ…どこ?
そして目に映ったのは怯えた顔で私を見つめる数人の女の人達
そうだ…確か私奴らに捕まったんだ!
どうやら小さな鉄格子の部屋に閉じ込められているらしい
鉄格子の外には誰もいない
起き上がり辺りを見渡す
『まるで牢屋みたい…』
床がコンクリートだからか夏だというのに肌寒く感じた
でもここが奴等の拠点には間違いない
副長に連絡しないと!!
『ッ!』
突然酷い頭痛に見舞われ、持っていた発信機を床に落とした
『くっ…なに…これッ!』
その場に蹲って頭を抱えるが一向に頭痛は治まらない
その時、鉄格子の扉がゆっくりと開いた
「よぉ、目ェ覚めたか?お嬢さん」
『!!』
そう言って誘拐犯たちの一人である男が私に近づいてきた
「駄目だぜ、最近ここいらで婦女誘拐が多発してるってーのに夜にあんな所うろついてちゃあ」
『…あんたがここのリーダー?』
「…まあな」
『こんなにたくさんの女の人達を…一体どうする気なの!?』
「決まってんだろ?いい女ってのは高く売れんだよ。全ては金儲けの為さ」
そう言って笑う目の前の男に足蹴りをかます
「ッ!てめェ何しやがる!」
『あんた達…人間のクズね』
「はっ、勘違いしねェでくれよ。俺達はただ何も考えずに誘拐してるわけじゃねーんだぜ?ちゃんと分別してんだ、だがごく稀に余計なモンまで混じりこんでたりすんだよなぁ…だろ?真選組の隊士さんよぉ」
しまった!バレてた!
男はニヤっと笑うと私のお腹を思いっ切り殴った
『グフッ!!』
女の人たちが悲鳴を上げる
「噂には聞いちゃいたが本当に女隊士がいたとはな…面は良いがもう少しおしとやかにならねェと可愛げがねぇぜ」
男に目を向けながら後ろで発信機のボタンを押す
あとは副長たちが来るまで何とか時間を稼げれば…。
『ッ!』
その時再び頭痛に見舞われた
「まぁいい…じきに大人しくなるだろうからな」
『!どういう意味…』
そういえば襲われた時に何か飲まされたような…まさか
「じきにわかるさ」
男はそう言って部屋を出て行く
どうする…今なら扉から逃げれるチャンスがある。だけど女の人達を置いては行けない
くそっ…こんなとき刀があれば…!
私は見張りが腰に差している刀に目を向けた
『…』